
「誰でも病気をするんだから、
病気をしない人の方がおかしいんだよ」
―― 内科医だった、私の祖母の言葉です。
不安を抱えた人の心を、まずやわらげる。
その姿が、私が福祉の道を選んだ原点でした。
祖母の診察室で、
語られていた言葉。
内科医だった祖母の診察室には、
「悪い病名を告げられるのではないか」「病気をすること自体が怖い」――
そんな不安を抱えた人たちが、たくさん訪れていたといいます。
祖母はまず、「誰でも病気をするんだから、病気をしない人の方がおかしいんだよ」と声をかけ、病気への怖さをそっとやわらげていたそうです。
安心できるからこそ、患者さんは本音を話し、結果として良い治療につながっていく。 ――幼い頃から、私はそんな祖母のエピソードを繰り返し聞きながら育ちました。

「人の役に立ちたい」
だけでは、足りなかった。
漠然と「人の役に立ちたい」と思っていた少年時代。 けれど、自分が医者になる姿はどうしても想像できませんでした。
白衣を着て診察するよりも、もう少し人の生活や気持ちの近くで、 話を聴いていたい。
――その感覚だけが、いつも胸の奥にありました。
高校の進路説明会、
一つの言葉に出会う。
転機は、高校の進路説明会でした。
さまざまな職業の話を聞く中で、初めて耳にした職種が「ソーシャルワーカー」でした。
病気や障害、生活の困りごとを抱えている人の話を聴き、 制度やサービスを使いながら、その人の生活全体を支えていく仕事。
説明を聞きながら、胸の中で何かがカチッと音を立ててはまる感覚がありました。
――あ、これかもしれない。
祖母が診察室でしていたように、不安を抱えた人に少し安心してもらうこと。 医者ではないけれど、人の回復や暮らしに深く関わること。
ぼんやりしていた「人の役に立ちたい」という思いが、 初めて具体的な職業のイメージと結びついた瞬間でした。
現場での20年。
そして、伝える側へ。
社会福祉を学ぶ大学に進み、精神保健福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・介護福祉士の資格を取得。
重度認知症デイケアでの臨床経験、 大手有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の管理者を経て、 現在は研修講師として、全国の介護現場の管理職・経営層に マネジメントの知見を届けています。

深瀬 久博
Hisahiro Fukase
- 保有資格
- 精神保健福祉士 / 社会福祉士 / 介護支援専門員 / 介護福祉士 / 認知症ケア専門士 / 産業ケアマネ(3級) / ストレスチェック実施者
- 経歴
- 重度認知症デイケアでの臨床経験を経て、大手有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の管理者を歴任。
- 現在
- 情熱介護 編集長。介護現場の管理職・経営層に向けた研修講師として全国に登壇。
- 活動
- 全国の施設長・経営者への取材、現場マネジメント・人材育成領域の執筆・講演。
不安を抱えた人の話を聴き、
安心して暮らせるように支えたい。
精神保健福祉士になることも、
重度認知症デイケアで働くことも、
介護施設の管理者になることも、
ましてや今のように研修講師をする未来も、
高校生の私には、まったく想像できていませんでした。
それでも――
不安を抱えた人の話を聴き、その人が少しでも安心して暮らせるように支えたい。
その原点だけは、あの進路説明会の日にすでに決まっていたのだと思います。
情熱介護は、その延長線上にある場所です。
現場で踏ん張る経営者・施設長・管理者の皆さんの隣に並んで、 一緒に考える材料を、これからも丁寧に届けていきます。

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