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    DX・制度対応 2026.06.14 約11分で読了

    介護情報基盤【2026年4月開始】
    施設長の現場実装ガイド
    ――マイナンバー連携・被保険者証ペーパーレス化・カードリーダー導入と助成金活用の完全手順

    2026年4月から順次開始の介護情報基盤。マイナンバーカード連携・被保険者証ペーパーレス化・カードリーダー導入助成金まで、施設長が今すぐ準備すべき実装手順を完全解説します。

    受付カウンターでカードリーダーにカードをかざしている場面
    深瀬久博
    執筆
    深瀬 久博 / 情熱介護 編集長
    介護福祉士・社会福祉士・認知症ケア専門士・産業ケアマネ(3級)・ストレスチェック実施者
    編集長より「紙とFAXの介護」がついに終わります。介護情報基盤は義務だから対応するものではなく、現場の時間を取り戻す仕組みです。被保険者証の確認・転記・FAXに費やしていた時間を、利用者と向き合う時間に変えるために、今月から準備を始めてください。

    この記事でわかること

    • 介護情報基盤とは何か、何が変わるのか
    • マイナンバーカードと被保険者証の一体化で現場がどう変わるか
    • カードリーダー導入の助成金の対象・金額・申請方法
    • 自治体の対応状況の確認方法
    • 2028年の本格運用に向けて今から準備すべきこと
    • 施設長が今月確認すべき実装チェックリスト

    はじめに:「紙とFAXの介護」がついに終わる

    介護現場を長年悩ませてきた問題がある。

    利用者の被保険者証・負担割合証・要介護認定情報——これらを毎回紙で確認し、転記し、FAXで送受信する。

    人手不足が深刻化する中、この「アナログ業務」が現場の時間を奪い続けてきた。

    2026年4月、国はその構造を変える制度を動かし始めた。

    介護情報基盤——介護と医療の情報を一元的にデジタル共有する新しい仕組みだ。

    完全移行は2028年4月だが、2026年4月から準備が整った自治体から順次開始されている。「まだうちの地域は始まっていない」という施設も、今から準備を始めなければ乗り遅れる。

    介護情報基盤とは何か

    制度の背景

    介護情報基盤は、2023年5月の健康保険法改正により法的に位置づけられた。市町村(保険者)が実施主体となり、地域支援事業として整備される。

    現在、介護に関する情報は以下のように分散して管理されている。

    • 要介護認定情報:市町村が管理
    • ケアプラン情報:居宅介護支援事業所が管理
    • サービス提供記録:各事業所が個別に管理
    • LIFE情報:厚生労働省のシステムで管理

    これらが一元的にクラウドで共有され、必要な関係者が必要なときに参照できる仕組みが介護情報基盤だ。

    何が変わるのか

    被保険者証のペーパーレス化:マイナンバーカードを使って被保険者証情報をオンラインで確認できるようになる。紙の被保険者証・負担割合証の持参が不要になる。

    要介護認定情報のオンライン確認:要介護認定の情報をクラウドからリアルタイムで引き出せるようになる。更新のたびに紙の書類を確認する手間が省ける。

    ケアプラン情報の共有効率化:ケアプランデータ連携システムとの連携により、事業所間の情報共有がさらにスムーズになる。

    医療情報との連携強化:病院・クリニックの医療情報と介護情報が連携し、退院支援・在宅復帰支援の精度が高まる。

    スケジュールの正確な理解

    時期内容
    2026年4月〜準備が整った自治体から順次運用開始
    2028年4月〜本格運用開始(全自治体対応予定)

    重要なのは「2026年4月から全国一斉に始まるわけではない」という点だ。自治体ごとに対応状況が異なる。

    自施設が属する市町村の対応状況は「介護情報基盤ポータルサイト」の「市町村(保険者)の対応状況」ページで確認できる。

    カードリーダー導入の助成金

    介護情報基盤を活用するには、マイナンバーカードを読み込むカードリーダーの導入が必要だ。

    この導入費用を支援する助成金が設けられている。

    助成金の概要

    項目内容
    対象経費カードリーダーの購入費用・初期設定費用
    申請方法介護情報基盤ポータルサイトから電子申請
    上限額サービス形態により異なる(訪問系:約5.5万円、入所系:約6.4万円等)
    令和8年度以降継続については今後検討予定

    助成金の申請期間には期限が設けられている。自施設のサービス種別の上限額・申請期限を介護情報基盤ポータルで確認し、早めに申請してほしい。

    カードリーダー選定のポイント

    カードリーダーはどれでもよいわけではない。介護情報基盤ポータルで動作確認済みの機器を選ぶ必要がある。

    確認手順:

    1. 介護情報基盤ポータルにログイン
    2. 「対応機器一覧」を確認
    3. 自施設の利用環境(PC・タブレット・OS)に合った機器を選定
    4. 購入・初期設定を行い助成金申請へ

    施設が今から準備すべき5つのこと

    準備①:自治体の対応状況を確認する

    介護情報基盤ポータルで、自施設が属する市町村の運用開始時期を確認する。開始済みの自治体であれば、今すぐ利用登録の手続きが必要だ。

    準備②:介護情報基盤ポータルへの事業所登録

    介護情報基盤を利用するには、事業所としてポータルに登録する必要がある。電子請求受付システム(介護)のIDを使ってログインし、事業所情報を登録する。

    準備③:カードリーダーの導入

    対応機器一覧を確認し、カードリーダーを選定・購入する。助成金申請も並行して進める。

    準備④:職員への研修・周知

    利用者のマイナンバーカードを読み込む操作は、窓口対応職員・介護職員が行う必要がある。操作手順の研修を実施し、全員が対応できる体制を整える。

    準備⑤:利用者・家族への説明

    マイナンバーカードを使った情報確認について、利用者・家族への事前説明と同意取得が必要だ。「なぜマイナンバーカードが必要か」「どんな情報が共有されるか」を丁寧に説明する資料を準備してほしい。

    よくある疑問と回答

    Q:マイナンバーカードを持っていない利用者はどうなるか?

    A:当面は従来の紙の被保険者証との併用が可能だ。ただし長期的にはマイナンバーカードへの移行が進むため、利用者・家族へのカード取得案内も検討してほしい。

    Q:個人情報の管理は大丈夫か?

    A:介護情報基盤は本人確認・本人同意の下で情報を共有する仕組みだ。セキュリティ対策は国が基準を定めており、事業所は定められたルールに従って運用する。

    Q:介護ソフトとの連携は必要か?

    A:将来的には介護ソフトとの連携が進む見込みだ。現在使用している介護ソフトのベンダーに、介護情報基盤への対応予定を確認しておくことを推奨する。

    施設長の今月確認リスト

    • 自施設が属する市町村の介護情報基盤の運用開始状況を確認した
    • 介護情報基盤ポータルに事業所登録を完了した(または予定日を決めた)
    • カードリーダーの助成金申請期限を確認した
    • 対応機器一覧で導入するカードリーダーを選定した
    • 助成金の申請手続きを開始した(または予定日を決めた)
    • 職員向けの操作研修の計画を立てた
    • 利用者・家族への説明資料を作成した
    • 使用中の介護ソフトの対応状況をベンダーに確認した

    編集長・深瀬久博からひとこと

    介護情報基盤は「義務だから対応する」ではなく、「現場の時間を取り戻す仕組み」として捉えてほしい。

    被保険者証の確認・転記・FAX送受信——これらに費やしていた時間が、利用者と向き合う時間に変わる。

    2028年の本格運用まで時間があると思いがちだが、自治体の対応状況によっては今すぐ動く必要がある施設もある。

    まず「うちの自治体はいつから始まるか」を今日確認してほしい。

    それだけで、準備のスタートが切れる。

    深瀬久博
    深瀬 久博
    情熱介護 編集長 / 介護現場マネジメント講師