課題解決ガイドへ戻る
    制度・報酬改定 2026.07.28更新日:2026.10.13 約10分で読了

    介護サービス事業者経営情報報告の義務を果たしていますか?指定取消リスクもある2年目の報告義務・提出期限・必要書類・システム操作の完全ガイド

    2024年4月から義務化された「介護サービス事業者経営情報の報告義務」は2年目を迎えました。未提出は指定取消リスクにもつながりうる重大義務です。会計年度ごとの提出期限・報告必須項目・経営情報データベースシステムの操作手順を施設長向けに解説します。

    介護サービス事業者経営情報報告のイメージ
    深瀬久博
    執筆
    深瀬 久博 / 情熱介護 編集長
    精神保健福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・介護福祉士・認知症ケア専門士・産業ケアマネ(3級)・ストレスチェック実施者

    【2026年10月1日 追記】報告受付が10月から再開されます

    厚生労働省は2026年9月18日の社会保障審議会・介護保険部会で、停止していた介護経営DB(介護サービス事業者経営情報データベースシステム)の報告受付を、2026年10月頃から再開する方針を示しました。報告期限は2026年12月末頃までです。

    今回報告するのは、2025年3月から2026年2月までに会計年度が終了した分(2年度目の報告)です。受付の停止が1年半におよんだため、会計年度の終わる時期によっては2年分の報告が必要な事業所もありますが、厚労省はさしあたり12月末頃までに1年分の報告を求める考えだと報じられています。詳細は、近く改めて周知されるとしています。

    詳しくは、この記事の最後に追記した「受付再開に向けて、今から確認すべきこと」をご覧ください。

    編集長より「3年に1度の実態調査と同じだ」と思っている施設長が予想以上に多いのです。この誤解が未提出の最大の原因です。今日、5分だけシステムにログインして提出状況を確認してください。それでリスクは大きく変わります。

    この記事でわかること

    • 介護サービス事業者経営情報報告とは何か・なぜ義務化されたのか
    • 未提出の場合のリスク(指定取消を含む)
    • 自施設の提出期限の正確な確認方法
    • 報告に必要な書類と必須記載項目
    • 経営情報データベースシステムへの報告手順
    • 「まだ提出していない」場合に今すぐやるべきこと

    はじめに:「知らなかった」では済まされない義務化2年目

    2024年4月、介護保険法の改正により「介護サービス事業者経営情報の報告義務」が創設されました。

    原則すべての介護事業者に対して、毎会計年度終了後3ヶ月以内に経営情報を都道府県に報告することが義務付けられました。

    しかし現実には、この義務を十分に認識していない施設長が少なくありません。

    「うちの法人はどこかがやっているだろう」「3年に1度の実態調査と同じものだろう」——こういった誤解のまま、未提出になってしまっているケースがあります。

    提出をしない、または虚偽の報告を行った場合は、期間を定めて報告もしくは内容を是正することを命ずることができ、その命令に従わない時は、指定の取消もしくは業務停止の処分ができるとされています。

    義務化2年目の今年度、「知らなかった」は通じません。今日、自施設の提出状況を確認してください。

    制度の概要:3年に1度の実態調査との違い

    なぜこの制度が作られたのか

    2040年を見据えた人口動態等の変化・生産年齢人口の減少・介護現場における人材不足・物価上昇や災害などに的確に対応するため、3年に1度の介護事業経営実態調査を補完する必要があることから創設された制度です。

    従来の実態調査は3年に1度の抽出調査だったが、この経営情報報告は毎年・全事業者が対象となります。

    実態調査との違い

    比較項目介護事業経営実態調査経営情報報告義務
    頻度3年に1度毎年
    対象無作為抽出原則全事業者
    根拠統計法介護保険法
    未提出時の罰則なし(協力依頼)あり(指定取消リスク)
    公表方式集計データ集計データ(個別法人名は非公表)

    対象となる事業者・対象外の事業者

    対象となる事業者

    原則すべての介護事業者が対象となります。

    特養・老健・通所介護・訪問介護・グループホーム・居宅介護支援など、介護保険サービスを提供している全ての事業者・施設が対象です。

    対象外となる場合

    以下に該当する場合は報告対象外です。

    過去1年間の介護サービスの対価として支払いを受けた金額が100万円以下の事業所・施設、および災害等で報告が困難な場合は対象外となります。

    提出期限の正確な確認方法

    基本的な提出期限

    毎会計年度終了後3ヶ月以内が提出期限です。

    つまり会計年度によって提出期限が異なります。

    会計年度会計年度終了月提出期限
    4月〜3月(最多)3月末6月末
    10月〜9月9月末12月末
    1月〜12月12月末3月末

    会計年度が4〜3月の事業所は、毎年6月末が提出期限です。

    ただし、2025年4月から2026年9月まで、システムの改修により報告の受付が停止されていました。この期間に提出できなかった場合でも、期限内に報告しなかったことにはならないとされています。2026年10月の受付再開後、12月末頃までに報告すればよいです。

    提出状況の確認方法

    自施設の提出が完了しているかどうかは、介護サービス事業者経営情報データベースシステムにログインして確認できます。

    ログインIDとパスワードは、介護保険の電子請求受付システムと同じIDを使用します。

    報告に必要な書類と必須記載項目

    事前に準備すべき書類

    ※2026年10月〜12月に行う報告は、2025年3月から2026年2月までに会計年度が終了した分(2年度目の報告)が対象です。会計年度が4月〜3月の事業所であれば、令和6年度(2024年4月〜2025年3月)の決算が該当します。令和7年度(2025年4月〜2026年3月)分の報告時期については、今後の周知を確認してください。

    2026年10月〜12月に行う報告(会計年度が4月〜3月の場合は令和6年度分)で必要になる主な書類は、次のとおりです。

    決算資料(損益計算書または事業活動計算書、キャッシュフロー計算書または資金収支計算書など)、介護料収益の明細書、保険外収益の帳簿。会計年度の初日の属する月(令和6年度分であれば令和6年4月)の職員数・給与がわかる資料(賃金台帳・シフト表)。同じ月の利用者数・食事提供回数・介護テクノロジーの導入状況。

    なお、職種別の職員数は、会計年度の初日の属する月に給与を支払った職員数を報告します。

    必須報告項目

    主な報告必須項目は以下です:介護事業収益、介護事業費用の給与費のうち給与、介護事業費用の業務委託費のうち減価償却費、介護事業費用の業務委託費のうち水道光熱費、事業所または施設の職員の職種別人数。なお職種別人数は会計年度の初日の属する月に給与を支払った職員数を報告します。

    給与(賃金)については任意報告だが、できる限り報告することが推奨されています。

    報告単位:事業所単位か法人単位か

    基本は事業所・施設単位

    事業所・施設ごとに会計区分を行っている場合については、事業所・施設単位での報告となります。事業所・施設単位での報告が困難である場合には、まとめて提出することも可能です。

    複数事業所を運営する法人の場合

    複数の事業所を運営する法人は、本部でまとめて調査票を受け取ることが可能です。本部管理の財務データを活用し、効率的な回答が可能になります。

    ただし「誰かがやっているはず」という思い込みが未提出につながりやすいものです。本部・各事業所の担当者を明確にし、提出完了の確認を一元管理することを推奨します。

    経営情報データベースシステムでの報告手順

    STEP 1:システムにログインする

    介護サービス事業者経営情報データベースシステム(厚生労働省が運営)にアクセスし、電子請求受付システムのIDとパスワードでログインします。

    STEP 2:対象会計年度を選択する

    自施設の会計年度を選択し、報告対象期間を確認します。

    STEP 3:各項目を入力する

    収益・費用・職員数等の必須項目を入力します。会計基準(社会福祉法人会計・医療法人会計・一般企業会計等)ごとに入力画面が異なります。

    STEP 4:入力内容を確認して送信する

    入力内容を確認し、送信(報告)を行います。送信完了後、受付番号を保存・記録しておきましょう。

    操作でわからない場合

    厚生労働省が「介護サービス事業者経営情報データベースシステム操作マニュアル(詳細版)」を公開しています。また、問い合わせ支援コンテンツ「どのマニュアルを見るべきか」も公開されているため、まずこれを確認してください。

    未提出の場合:今すぐやるべきこと

    提出期限を過ぎている場合

    引き続き提出を受け付けているとの案内が厚生労働省から出ています。期限を過ぎていても速やかに提出することで、ペナルティのリスクを下げられます。

    今すぐ以下を確認してください。

    • 経営情報データベースシステムにログインし、提出状況を確認します
    • 未提出の場合、経理・財務担当者に今日中に連絡し、準備を始めます
    • システム操作がわからない場合、厚生労働省のマニュアルまたは都道府県の担当窓口に問い合わせます

    施設長の今すぐ確認リスト

    • 自施設の会計年度を確認し、提出期限を特定しました
    • 経営情報データベースシステムにログインし、提出状況を確認しました
    • 未提出の場合、経理・財務担当者に今日中に連絡しました
    • 複数事業所を持つ法人は、全事業所の提出状況を一覧で確認しました
    • 報告に必要な書類(決算資料・賃金台帳・利用者数等)の準備状況を確認しました
    • 来年度に向けて、提出スケジュールを経営カレンダーに組み込みました

    【2026年10月 追記】受付再開に向けて、今から確認すべきこと

    なぜ1年半も止まっていたのか

    受付が停止されていた理由は、システムの不具合ではありません。厚労省が課題として挙げたのは、次の2点です。

    1. 入力を間違えやすい作りだった:報告の負担を軽くするために、必須の項目を最小限にし、入力エラーの自動チェックも最低限にしていました。その結果、事業者が自分で二重チェックをする前提になり、かえって負担が増え、入力の誤りも起きやすくなっていました。
    2. サービスごとに振り分ける処理が膨大になった:複数のサービスをまとめて報告したり、医療や障害福祉の分野と合算して報告したりした事業者が、想定以上に多くありました。初年度の報告のうち、64.0%が振り分け処理の必要なデータでした。

    この2点を直すための改修を終えて、10月の再開に至ります。

    今年度から、項目が1つ増えます

    振り分けの精度を上げるため、2026年度からは「その他必要な事項」として、延べ床面積が追加される予定です。介護サービスごと、医療、障害福祉サービスごとの延べ床面積が対象になります。

    複数のサービスや、医療・障害福祉の事業を同じ建物で行っている法人は、事前に面積の内訳を整理しておくと、報告がスムーズになります。

    初年度は、半分程度しか報告していない

    初年度(2024年3月〜2025年2月に会計年度が終了する分)の状況は、次のとおりでした。

    項目件数
    介護保険給付費の請求実績がある事業所219,788件
    経営情報の報告があった件数108,800件

    報告は法人単位でもできるため、この数字がそのまま「半分の事業所が未報告」を意味するわけではありません。ただ、厚労省は報告率の改善に向けた取組を継続するとしており、報告していない事業者への働きかけは今後強まる可能性があります。

    今から確認しておきたい4つのこと

    ① 自施設が報告の対象かどうか
    原則としてすべての介護サービス事業者が対象です。ただし、事業所・施設のすべてが「過去1年間に介護サービスの対価として受け取った金額が100万円以下」などに当てはまる場合は、報告の対象から外れます。

    ② システムにログインできるか
    報告には、国の事業者向けアカウント(GビズID)が必要です。前回報告した担当者が退職している場合、アカウントが使えないことがあります。10月を待たずに、ログインできるかどうかだけ先に確認しておくことをおすすめします。

    ③ 必要な決算資料がそろっているか
    報告には、収益・費用の内訳、職種別の人員数が必要です。顧問の税理士や会計事務所に依頼する場合は、12月末の期限から逆算して、早めに声をかけておきましょう。

    ④ 延べ床面積の内訳
    前述のとおり、今年度から追加される見込みの項目です。複数のサービスを運営している場合は、建物の図面や固定資産台帳を確認しておくと、後が楽になります。

    12月末という期限の意味

    12月は、年末調整や賞与の支給、年末年始の勤務体制づくりが重なる時期です。そこへ経営情報の報告が加わります。

    期限ぎりぎりになると、担当者が1人で抱え込むことになりがちです。11月中に一度、必要な資料がそろっているかを確認する日を決めておくと、12月の負担が大きく変わります。

    今後の見通し

    厚労省は、2年分の報告データがそろった後、2027年4月以降に分析結果を介護保険部会に報告する予定としています。あわせて、報告の負担を軽くする方策の検討も続けるとしています。

    この制度は、介護報酬改定の前提になる経営実態の把握に使われます。報告の内容が、将来の報酬の議論に反映されていくことになります。

    この記事の出典

    編集長より

    「3年に1度の実態調査と同じだと思っていた」「うちの法人は誰かがやっているはず」——この2つの誤解が、未提出につながる最大の原因です。

    今回の経営情報報告は毎年・全事業者が対象であり、未提出は最終的に指定取消につながりえます。

    今日、ログインして提出状況を確認するだけでいいのです。5分でできます。

    「提出済み」なら安心。「未提出」なら今日から動く。それだけです。

    深瀬 久博
    情熱介護 編集長 / 介護現場マネジメント講師

    この記事に関連する実務ガイド

    関連記事

    【無料】制度改正の要点と、現場で使える対応策を、月2回お届けします。

    売り込みのメールは送りません。施設運営に役立つ情報だけをお届けします。

    メールで受け取る