特定技能「介護」5年ルール延長と国家試験パート合格制度【2026年最新】
――在留期間延長の要件・学習計画作成・施設長が今すぐ準備すべき実務手順
特定技能1号「介護」の通算5年ルールに、国家試験パート合格による在留期間延長(最長6年)の措置が2026年1月に始まった。同時に第38回介護福祉士国家試験から「パート合格制度」も導入されている。本記事は施設長が今すぐ準備すべき学習計画・申請手続きを実装レベルで解説する。

この記事でわかること
- 特定技能1号「介護」の通算5年ルールとは何か
- 2026年1月に始まった在留期間延長措置の正確な内容
- 介護福祉士国家試験「パート合格制度」の仕組み
- 施設側が用意すべき「学習計画」と提出書類
- 延長申請の手続きフロー
- 施設長が今すぐ確認すべきこと
はじめに:「5年で帰国」が前提を変えた
特定技能1号には、通算5年という在留期間の上限がある。
これまで、特定技能「介護」で働く外国人材にとって、5年というのは現場に慣れ、利用者との関係も深まったタイミングで帰国を迎えるという、もったいない制度上の壁だった。
施設側にとっても「やっと育った人材が5年で帰ってしまう」というのは、採用・教育コストの面で大きな損失だった。
2026年1月、この状況に変化をもたらす措置が始まった。介護福祉士国家試験で一定の要件を満たした特定技能1号の人材は、在留期間を最長6年まで延長できるようになった。
同時に、2026年1月実施の第38回介護福祉士国家試験から「パート合格制度」が導入され、国家試験そのものの仕組みも変わっている。
この記事では、この2つの制度変更を正確に整理し、施設長が今すぐ準備すべきことを解説する。
特定技能1号「介護」の基本:5年ルール
在留期間の上限
特定技能1号の在留期間は通算5年が上限であり、家族帯同は認められていない。
5年を超えて長期就労を続けるには、介護福祉士の国家資格を取得し、在留資格「介護」へ移行するのが基本的なルートだった。在留資格「介護」は期間の制限がなく、家族帯同も可能になる。
つまり、特定技能から介護福祉士国家試験に合格しなければ、5年で日本を離れることが前提となっていた。
国家試験合格の難しさ
外国人材にとって、就労と日本語での学習を両立しながら、5年以内に国家試験に合格するのは大きな負担だった。日本人を含めた全体の合格率よりも、外国人材の合格率は低い傾向にあるとされ、限られた受験機会の中での合格は容易ではなかった。
2026年1月開始:在留期間延長措置の内容
措置の概要
介護福祉士国家試験において一定の要件を満たした特定技能1号外国人について、通算在留期間の延長(最長6年まで)が可能になった。これは「パート合格(合格パートの受験免除)」の仕組みと連動した措置だ。
延長の対象となる条件
延長措置の対象となるのは、最終年度(5年目)の国家試験で一部のパートに合格し、残りのパート合格を目指して翌年度も受験を継続する人材だ。全パート不合格の場合や、そもそも受験していない場合は対象とならない。
特定技能所属機関(施設側)が実施すべきこと
施設側には重要な役割が課されている。施設側は対象者本人とともに、翌年度の国家試験合格を目指すための具体的な支援計画、および国家試験対策に係る講座・研修等の受講予定を含む「学習計画」を作成し、厚生労働省に提出する必要がある。
つまり「とりあえず延長してください」では通らない。具体的な学習支援の計画を、施設として責任を持って作成することが前提となる。
在留期間延長の確認依頼に必要な書類
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 確認依頼書(別紙様式1) | パート合格による通算在留期間の延長に係る確認依頼 |
| 国家試験結果等の写し | 受験した年の「介護福祉士国家試験結果等について」の写し |
| 在留カード(表面)の写し | 本人確認用 |
| 学習計画(別紙様式2) | 翌年度合格を目指す具体的な支援計画 |
介護福祉士国家試験「パート合格制度」とは
制度の仕組み
2026年1月実施の第38回介護福祉士国家試験から、試験がA・B・Cの3パートに区分される「パート合格制度」が導入された。
初回受験時は全パートを受験する必要がある。次回以降は、合格済みのパートを含めた全パート受験か、不合格パートのみの受験かを選択できる。
パート合格の有効期限
パート合格の有効期限は、試験年を含め最大3年間有効とされている(合格した翌々年まで受験免除)。例えば第38回でA・Bパートに合格した場合、第39回ではCパートのみ受験すれば介護福祉士資格を取得できる。
第38回(2026年1月)の試験結果
第38回介護福祉士国家試験の結果は、受験者数78,469人、合格者数54,987人、合格率70.1%だった。合格点は64点(Aパート32.23点・Bパート20.43点・Cパート11.33点)となっている。
パート合格者の注意点
パート合格制度について重要な注意点がある。パート合格の対象者は、配置基準や報酬の算定には含まれない。あくまで一部科目の通過を意味し、介護福祉士としての資格取得そのものとは異なる。外国人材本人にも、この点を正確に説明しておく必要がある。
施設側が用意すべき学習支援の具体例
学習計画を実効性のあるものにするために、以下のような支援を具体的に計画してほしい。
支援①:勤務シフトの調整
国家試験対策の講座・研修への参加時間を確保できるよう、試験前の時期はシフトに配慮する。
支援②:日本語学習・専門用語学習のサポート
介護福祉士国家試験は日本語で実施される。日常会話レベルの日本語に加えて、専門用語の理解が求められる。施設として日本語学習の機会(オンライン講座の費用補助等)を提供することを検討する。
支援③:模擬試験・過去問演習の機会提供
合格していないパートに集中して学習できるよう、パート別の過去問演習の機会を提供する。
支援④:受験スケジュールの管理
国家試験の申し込み期間は短く、1日でも過ぎると受験できなくなる。施設側が申し込み期限を本人と一緒に管理することが望ましい。
申請手続きの流れ
STEP 1:対象者の国家試験結果を確認する。パート合格の状況を確認し、延長措置の対象となるか判断する。
STEP 2:本人とともに学習計画を作成する。翌年度の合格を目指す具体的な支援内容を計画書(別紙様式2)にまとめる。
STEP 3:必要書類を準備する。確認依頼書・試験結果の写し・在留カードの写し・学習計画を揃える。
STEP 4:厚生労働省へ提出する。書類を提出し、確認を受ける。
STEP 5:延長後も学習支援を継続する。延長が認められた後も、翌年度の合格に向けた支援を継続する。
施設長の今すぐ確認リスト
- 自施設で特定技能1号「介護」の人材が在留5年目に近づいているか確認した
- 対象者の介護福祉士国家試験の受験状況・パート合格状況を確認した
- 延長措置の対象となるか厚生労働省の最新情報で確認した
- 学習計画(別紙様式2)の作成を本人と進めた
- 必要書類(確認依頼書・試験結果・在留カード)を準備した
- 国家試験対策の学習支援(講座・研修等)を計画した
- 次回試験の申し込み期限を本人と共有した
「延長できるなら申請しよう」ではなく、「この人材にもう1年、現場で輝いてもらうために何を支援できるか」という視点で計画を作ってほしい。
編集長・深瀬久博からひとこと
特定技能の5年ルールは、これまで「育てた人材が必ず去っていく」という現場の宿命だった。
今回の延長措置は、その宿命に小さな抜け道を作った。ただし、それは施設側が「学習計画」という責任を引き受けることが前提になっている。
「延長できるなら申請しよう」ではなく、「この人材にもう1年、現場で輝いてもらうために何を支援できるか」という視点で計画を作ってほしい。
その姿勢こそが、外国人材から見た「働き続けたい施設」の条件になる。