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    制度・処遇改善 2026.06.14 約12分で読了

    訪問看護・ケアマネ・リハビリ職
    処遇改善加算 完全対応ガイド
    【2026年6月新規対象】
    ――加算率・特例要件・届出手順・配分ルールを管理者向けに完全解説

    2026年6月から訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援・介護予防支援が処遇改善加算の新規対象になりました。加算率1.8%・令和8年度特例要件・ケアプランデータ連携システムとの関係・届出の期限まで——管理者が今すぐ動くための実務ガイドです。

    訪問看護師が高齢者の体調を確認しているイメージ
    深瀬久博
    執筆
    深瀬 久博 / 情熱介護 編集長
    介護福祉士・社会福祉士・認知症ケア専門士・産業ケアマネ(3級)・ストレスチェック実施者
    編集長より「うちの看護師やケアマネには関係なかった」が終わった日です。制度は変わっても、管理者が動かなければ加算は入ってきません。届出の遅れは、その月の増収を永遠に失います。今週まず、届出状況の確認から始めてください。

    この記事でわかること

    • なぜ今回、訪問看護・ケアマネ・リハビリ職が新たに対象になったのか
    • 訪問看護の加算率1.8%で実際にいくら増収になるか
    • 「令和8年度特例要件」とは何か・通常要件との違い
    • ケアプランデータ連携システムとの関係と「加入だけでは不十分」な理由
    • 届出の締め切りと今からでも間に合う対応手順
    • 看護師・ケアマネへの配分ルール設計の注意点

    はじめに:「うちは対象外だった」が終わった日

    2026年6月1日、介護業界にとって歴史的な変化が起きた。

    これまで処遇改善加算の対象外とされていた訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援・介護予防支援が、ついに処遇改善加算の対象サービスとなった。

    「介護職員だけが対象で、うちの看護師やケアマネには関係なかった」——そう思い続けてきた管理者にとって、今回の改定は制度の根本が変わる出来事だ。

    一方で「対象になったのはわかったが、何をどうすればいいかわからない」という管理者も多い。この記事では、新規対象となったサービスの管理者が今すぐ動くために必要な情報を、正確かつ具体的に解説する。

    「うちは対象外」が終わった。
    制度は変わった。あとは、動くだけだ。

    今回新たに対象となったサービス

    2026年6月から処遇改善加算の対象に加わったサービスは以下の4種類だ。

    • 訪問看護
    • 訪問リハビリテーション
    • 居宅介護支援
    • 介護予防支援

    これらはこれまで「医療系サービス」または「ケアマネジメントサービス」として介護職員向けの処遇改善とは別枠で扱われてきた。

    今回の改定の背景は明確だ。介護職員との賃金格差が離職の一因となっており、訪問看護師・理学療法士・ケアマネジャーの人材確保が限界に達しつつある。国がその構造的な問題にようやく手をつけた。

    加算率と増収のインパクト

    訪問看護の加算率

    訪問看護に設定された処遇改善加算の加算率は1.8%だ。基本サービス費に各種加算減算を加減した1ヶ月あたりの総単位数に、加算率を乗じて算出する。

    月間総単位数の目安加算率月間増収目安
    100,000単位1.8%約18,000円
    300,000単位1.8%約54,000円
    500,000単位1.8%約90,000円

    ※1単位=10円換算の概算。実際の金額は地域区分により異なる。

    年間に換算すると、中規模の訪問看護ステーション(月300,000単位)で約65万円の増収となる。これを原資として看護師・リハビリ職の賃金改善が可能だ。

    居宅介護支援の加算率

    居宅介護支援(ケアマネ事業所)の加算率については、担当ケアマネの件数・事業所規模によって変わる。自事業所の実績から概算し、都道府県の担当窓口や介護ソフトのサポートに確認することを推奨する。

    「令和8年度特例要件」とは何か

    新規対象サービスには、通常の処遇改善加算の要件よりも取得しやすい「令和8年度特例要件」が設けられている。

    特例要件の2つの選択肢

    訪問看護・訪問リハビリ・居宅介護支援・介護予防支援の場合、以下のどちらかを満たせばよい。

    選択肢A:従来の処遇改善要件

    • キャリアパス要件(賃金体系の整備・研修の実施)
    • 職場環境等要件(働きやすい環境づくりの取り組み)

    これは既存の介護サービスが取得している加算Ⅳに相当する要件だ。

    選択肢B:生産性向上・協働化要件(特例)

    以下のいずれかへの取り組み:

    • ケアプランデータ連携システムへの加入・利用
    • 社会福祉連携推進法人への参加・見込み

    特例要件は「何もしなくても算定できる」という意味ではない。生産性向上や協働化に関する具体的な取り組みが必要だ。

    重要:「加入だけでは要件を満たせない」

    ケアプランデータ連携システムについて、厚生労働省のQ&A(第1版)では以下のように明確に回答している。

    「令和8年度特例要件を満たすにあたっては、ケアプランデータ連携システムへの加入だけではなく、利用することが必要であり、実績報告書において利用実績について記載することとする」

    システムに加入したが使っていない状態では要件を満たせない。実際に業務で活用し、利用実績を記録・報告する必要がある。

    届出の手順と期限

    6月以降から算定を始める場合

    6月以降から処遇改善加算を算定する場合の届出期限は以下の通りだ。

    書類期限
    体制届2026年5月15日(原則)※自治体により6月15日まで柔軟対応
    処遇改善計画書2026年6月15日まで
    実績報告書2027年7月31日(2026年度分)

    体制届の提出期限はすでに過ぎているが、自治体によっては6月15日まで柔軟対応している。今すぐ管轄の都道府県・市区町村の担当窓口に確認してほしい。

    届出から算定開始までの流れ

    • 担当窓口に体制届・計画書を提出
    • 受理された月の翌月から算定開始
    • 実績報告書を翌年7月末までに提出

    書類保存の義務

    処遇改善計画書および実績報告書の根拠資料は、2年間の保存が義務付けられている。実地指導の際に必要となるため、適切に管理・保管してほしい。

    看護師・ケアマネへの配分ルール設計の注意点

    新たに対象となった職種への配分ルールは、既存の介護職員とは別に考える必要がある。

    配分対象の基本原則

    加算額は原則として以下の職種への賃金改善に充てる。

    • 訪問看護ステーション:看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等
    • 居宅介護支援事業所:介護支援専門員(ケアマネジャー)等

    ただし事業所の判断で、介護職員等他の職種への配分も柔軟に認められている。

    注意点:複合型法人の場合

    特養・通所介護と訪問看護・居宅介護支援を一体で運営している法人では、加算の申請・配分を一括で行えるケースがある。ただし加算率・要件が異なるため、サービス種別ごとに計算を分けて管理する必要がある。

    社労士や介護ソフトのサポートを活用して、誤配分・未申請が起きないよう注意してほしい。

    施設長・管理者の今週確認リスト

    • 自法人のサービス種別に訪問看護・訪問リハビリ・居宅介護支援が含まれているか確認した
    • 体制届・処遇改善計画書の提出状況を確認した
    • 未提出の場合、管轄窓口に柔軟対応の可否を確認した
    • 特例要件A(従来要件)かB(特例)どちらで申請するか決定した
    • ケアプランデータ連携システムを選択した場合、利用実績の記録を開始した
    • 対象職種への配分ルールを設計した
    • 職員への周知資料を作成した
    • 書類の2年間保存体制を整えた

    編集長・深瀬久博からひとこと

    訪問看護師やケアマネジャーが「自分たちは対象外」と思い続けてきた時代が終わった。

    しかし制度が変わっても、管理者が動かなければ加算は入ってこない。届出が遅れれば、その月の増収は永遠に取り戻せない。

    「対象になったのは知っていた。でも忙しくて後回しにした」——この一言が、年間数十万円の機会損失につながる。

    今週、まず届出状況の確認から始めてほしい。それだけでいい。

    深瀬久博
    深瀬 久博
    情熱介護 編集長 / 介護現場マネジメント講師