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    集客・ブランディング 2026.05.24 約23分で読了

    介護施設の口コミ・評判管理、完全ガイド2026
    ――Google・SNSの悪評対応と、入居率を上げる返信テンプレ

    「ある朝、Googleマップを開いたら★1.5の口コミがついていた」――。家族の多くは施設見学の前に必ずスマホで検索します。介護施設のオンライン評判は、もはや広報の問題ではなく、入居率と採用率を直接左右する経営課題。本記事では、悪い口コミへの返信テンプレ、削除依頼の限界、良い口コミを自然に集める仕組みまで、施設長が今日から動けるよう実務目線で整理します。

    介護施設を検討する家族がスマートフォンで口コミと評価を確認している様子
    深瀬久博
    執筆
    深瀬 久博 / 情熱介護 編集長
    介護福祉士・社会福祉士・認知症ケア専門士・産業ケアマネ(3級)・ストレスチェック実施者
    編集長より口コミ管理は『広報の仕事』ではなく『品質改善のフィードバック装置』です。★1の評価に反論したくなる気持ちは分かりますが、書き手の向こう側にいるのはあなたの施設を検討中の何十人もの家族。返信1本の温度が、半年後の入居率を変えます。

    1. なぜ今、口コミ管理が『経営課題』なのか

    介護施設選びにおいて、家族が情報源として参照する経路は「ケアマネ・地域包括の紹介」と「インターネット検索」の二本柱に集約されつつあります。総務省の通信利用動向調査では、60代のインターネット利用率は86.8%、70代でも65.5%(令和5年度)。50〜60代のいわゆる『介護を担う子世代』は、ほぼ全員がスマホで施設を比較する世代です。

    ここで決定的に効いてくるのが、Googleマップに表示される口コミと星評価です。検索結果に最初に出てくるその数字を見て、見学予約に進むか否かが分かれる。同じ立地・同じ料金帯の施設が並んだとき、★4.2と★2.8の差は、見学申込数で2〜3倍に開くと言われます。

    86.8%
    60代のインターネット利用率(介護検討世代の中核)
    出典:総務省 令和5年度 通信利用動向調査
    ★1差
    星評価1点差が見学申込数を2〜3倍変えるとされる業界実感値
    出典:ローカルSEO各社調査の傾向値
    数年単位
    一度書かれた口コミがGoogleに残り続ける期間
    出典:Google マップに関するポリシーを編集部で整理
    口コミは『広報の仕事』ではなく、
    『品質改善のフィードバック装置』である。

    2. 介護施設の口コミが書かれる『4つの場所』

    施設管理者がノートパソコンとレポートで自施設の口コミ・分析データを確認する様子
    『どこに書かれているか』を把握できていない施設は、対応の入口にすら立てない。

    ① Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)

    最も影響が大きいのがGoogle口コミ。検索結果・マップ・モバイル検索のすべてに星評価が表示され、家族の意思決定に直結します。書き込みはGoogleアカウントを持つ誰でも可能で、施設側の事前承認はありません。必ずオーナー登録を行い、返信権限を確保するのが第一歩です。

    ② SNS(X/Instagram/Facebook/YouTube)

    職員・家族・元職員による投稿が拡散リスクの主戦場。『施設名』『法人名』でのエゴサーチを最低週1回。特にXは投稿から24時間以内の対応が炎上回避の分かれ目です。

    ③ 介護施設比較サイト(LIFULL介護/みんなの介護/ホームメイト・シニア 等)

    利用者・家族の体験談が掲載される媒体。多くは運営事業者向けの管理画面から返信が可能。掲載料を払っている媒体ほど、口コミ削除依頼の窓口対応がしっかりしています。

    ④ Indeed・エンゲージ・openworkなどの『社員口コミ』

    元職員・現職員による職場口コミは、採用に直結します。「夜勤がきつい」「人間関係が悪い」といった内部告発型の投稿は、応募ゼロの根本原因になり得ます。採用と口コミは表裏一体と捉えて運用する必要があります。

    最低限のモニタリング体制として、Google アラートに施設名・法人名・代表者名を登録し、新規ヒットを即時メール通知できる状態にしておきましょう。設定は5分、コストはゼロです。

    3. 悪い口コミへの『返信5原則』

    原則① 24〜72時間以内に必ず返信する

    無視は最悪手。他の閲覧者は『施設の誠実さ』を返信文から判断します。怒りが収まらないうちは下書きで止め、必ず翌日以降の冷静な目で送信するのが鉄則。

    原則② 感情的な反論・事実関係の真っ向否定はしない

    「事実無根です」「悪意ある投稿です」は、たとえ真実でも逆効果。『閲覧者は中立の第三者』であることを常に意識し、攻撃的なトーンは封印します。

    原則③ 個人情報・利用者情報は絶対に書かない

    「○○様のご家族から」「△△号室の方」など、個人を特定できる情報は守秘義務違反。返信は常に『一般論+施設の方針』のレベルにとどめます。

    原則④ 『お詫び・受け止め・改善・連絡先』の4要素を入れる

    ①不快な思いをさせたことへのお詫び ②ご意見の受け止め ③再発防止・改善の姿勢 ④直接話せる連絡先(電話・メール・担当者名)の提示。この4要素が揃った返信は、他の閲覧者から見ても誠実に映ります。

    原則⑤ 返信は『書き手より閲覧者』に向けて書く

    書き手を説得することは、ほぼ不可能です。真の読者は、その投稿を読んでいる検討中の家族。彼らに「この施設は、苦情にも誠実に対応する施設だ」と伝わる文章を目指します。

    4. 状況別 返信テンプレ8パターン

    以下はあくまで雛形です。必ず自施設の事情・固有名詞を外し、固有のトーンに置き換えて使ってください。テンプレ感が出すぎると逆効果です。
    ケース① 職員の態度・接遇への不満(★1〜2)

    このたびは、ご家族様に不快なお気持ちを抱かせてしまいましたこと、深くお詫び申し上げます。 職員の接遇は、当施設が最も大切にしている部分であり、ご指摘を真摯に受け止めております。本投稿を全職員で共有し、改めて接遇研修と日々の声かけの徹底を行ってまいります。 差し支えなければ、施設長 〇〇まで直接お電話(XXX-XXXX-XXXX)にてお話を伺えますと幸いです。改善の手がかりとさせていただきたく、何卒よろしくお願い申し上げます。

    ケース② 食事内容への不満

    お食事に関する貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。お食事は日々のお楽しみの中心であり、ご満足いただけなかったこと、心よりお詫び申し上げます。 当施設では管理栄養士・調理スタッフと毎月の献立検討会を行っておりますが、本ご意見も次回会議で議題として取り上げさせていただきます。具体的なご要望がございましたら、相談員までお気軽にお寄せください。

    ケース③ 面会対応・コミュニケーション不足

    ご家族様とのコミュニケーションについて、ご不便をおかけしましたことお詫び申し上げます。 ご家族様への定期的なご報告は当施設の重要な業務と位置づけており、ご指摘を受け、面会・電話対応の運用を再点検いたします。今後のご面会・ご連絡については、担当相談員(〇〇)までお気軽にお声がけください。

    ケース④ 退職者からの内部告発型口コミ(採用に効く返信)

    貴重なご意見をいただきありがとうございます。職場環境については、施設の経営課題として継続的に取り組んでおります。 2026年度はハラスメント相談窓口の整備、夜勤体制の見直し、ICT導入による業務負担軽減等を進めております。具体的な内容について、ご面談のご希望があれば、人事担当(〇〇)まで直接ご連絡ください。引き続き、働きやすい現場づくりに努めてまいります。

    ケース⑤ 事実誤認を含む口コミ

    ご意見をいただき、ありがとうございます。ご指摘の内容について、当施設の認識と異なる部分もございますが、ご家族様にそのような印象を与えてしまったことについては、誠に申し訳なく存じます。 誤解があるようでしたら直接ご説明させていただきたく、お手数ですが施設長 〇〇までご連絡(XXX-XXXX-XXXX)いただけますでしょうか。

    ケース⑥ 良い口コミ(★4〜5)への返信

    温かいお言葉をいただき、職員一同、大きな励みとなっております。ありがとうございます。 ご家族様の安心と利用者様の笑顔を支えられるよう、これからもチーム一丸となって取り組んでまいります。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

    ケース⑦ 匿名・誹謗中傷に近い投稿

    ご意見をいただき、ありがとうございます。当施設では、すべてのご意見を改善の糧として受け止めております。 投稿内容について詳しくお話を伺うことができれば、具体的な改善につなげられると考えております。お手数ですが、施設長 〇〇までご連絡(XXX-XXXX-XXXX)いただけますと幸いです。

    ケース⑧ 看取り・退所後のご家族からの感謝の口コミ

    このたびはご丁寧なお言葉を賜り、ありがとうございます。〇〇様(差し支えなければ「故人様」「ご利用者様」とぼかす)と関わらせていただいた時間は、私たち職員にとってもかけがえのないものでした。 いただいたお言葉を職員間で共有し、これからのケアの励みとさせていただきます。心より御礼申し上げます。

    真の読者は、
    書き手ではなく、
    画面の向こうの『検討中の家族』。

    5. Googleの口コミは『削除できる』のか

    結論から言えば、削除できるのは Google のポリシー違反に該当する投稿だけです。「悪口だから」「事実と違うから」という理由だけでは削除されません。

    削除が認められやすいケース

    • 個人を特定できる情報(氏名・部屋番号・病状等)が記載されている
    • 差別的・侮辱的な表現(人格否定・ヘイトスピーチ等)が明確に含まれる
    • 同一人物による短期間の連投・なりすまし・スパム的投稿
    • 明らかに実体験に基づかない(一度も利用していない第三者の投稿等)
    • 競合事業者による意図的な妨害が立証できる

    削除依頼の手順(Google)

    ① Googleビジネスプロフィール管理画面 → ② 該当口コミの「︙」メニューから「不適切な口コミとして報告」 → ③ ポリシー違反の種別を選択 → ④ 数日〜数週間でGoogleが判定却下されてもオーナー返信は残せるので、並行して必ず返信文を整える。

    悪質性が高い場合の最終手段

    プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求(弁護士経由)
    ・名誉毀損・偽計業務妨害での刑事告訴・民事訴訟
    ただし、『施設として法的措置に踏み切った』という事実そのものがレピュテーションリスクになります。費用対効果と長期影響を社労士・弁護士と冷静に検討してから判断してください。

    6. 良い口コミを『自然に』集める仕組み

    介護施設のスタッフが家族からのフィードバック資料を会議で共有している様子
    『満足した家族』に正しい順序で声をかける――それだけで口コミは育つ。

    絶対にやってはいけないこと

    職員・家族・関係者への直接的な口コミ依頼(Googleポリシー違反、利用者保護の観点でもNG)
    特典・割引と引き換えの口コミ依頼(ステマ規制違反の恐れ)
    職員から複数アカウントでの自作自演(バレた瞬間に致命的)

    正攻法の3つの導線

    退所・看取り後の家族アンケートに、最後の一文として「もしよろしければ、他のご家族様の参考になるよう、Googleマップへのご感想もお寄せいただけますと幸いです」とQRコード付きで案内する。
    家族会・面会時の自然な会話の中で、満足の声をいただいた際に「もしよろしければ……」とお願いする。
    施設パンフレット・名刺・受付POPにQRコードを控えめに掲示。書く・書かないは本人に委ねる。

    ステマ規制(景品表示法、2023年10月施行)により、対価提供のある口コミ依頼は『広告』表示が必須です。Googleマップの口コミでこれは事実上不可能なため、対価なしの依頼に徹するのが安全な唯一の方法です。

    7. 採用にも効く――Indeed・openworkの社員口コミ対応

    「求人を出しても応募ゼロ」の隠れた原因の一つが、Indeed・openworkに残った退職者の低評価口コミです。応募候補者は、応募ボタンを押す前に必ず社名で検索します。

    企業オーナー登録(無料)を行い、返信権限を確保する
    ・「夜勤がきつい」「人間関係が悪い」等の指摘には、『2026年度の改善策(具体的な施策)』をセットで返信する
    ・改善実績は採用サイト・面接時の説明にも反映し、口コミ→面接→入社の流れで一貫させる

    8. 月1回の『口コミレビュー会議』テンプレ

    時間議題アウトプット
    5分先月の新規口コミ一覧の共有(Google/SNS/比較サイト/Indeed)件数・平均星・傾向
    15分悪評・低評価の内容分析(接遇/食事/面会/設備/採用)改善テーマ1〜2点
    15分未返信投稿への返信文レビュー(複数名で校正)返信文の確定・送信
    10分良い口コミの『現場共有』(誰の・どんな対応が褒められたか)月次表彰・全体共有
    15分次月のアクション決定(改善・運用・依頼導線)担当者・期限
    会議は『60分・施設長+相談員+現場リーダー+人事の4名』が標準形。月1回固定にして「やる/やらない」を議論しないのが続けるコツです。

    9. 経営者セルフチェック10項目

    • Googleビジネスプロフィールのオーナー登録を完了している
    • 施設名・法人名・代表者名のGoogleアラートを設定している
    • SNS(X/Instagram)での施設名エゴサを週1回以上行っている
    • 口コミ返信の責任者と返信原則(5原則)が文書化されている
    • 悪い口コミに72時間以内に返信できる運用体制がある
    • 返信文に個人情報・利用者情報が含まれない確認フローがある
    • 退所・看取り後のアンケートに口コミ依頼を組み込んでいる
    • Indeed・openworkに企業オーナー登録し、社員口コミに返信している
    • 悪評の傾向を現場の品質改善テーマと接続している
    • 月1回の口コミレビュー会議を定例化している

    10. 今すぐやるべき、3つのアクション

    No.アクション期限効果
    01Googleオーナー登録+Googleアラート設定今週中監視と返信の起点が整う
    02未返信の全口コミに5原則ベースで返信2週間以内『誠実な施設』として認知される
    03月1の口コミレビュー会議を定例化来月から運用が属人化せず継続する
    編集長より、最後に悪い口コミに動揺しない一番の方法は、日々のケアの品質に自信を持つことだと、編集部は考えています。仕組みを整え、返信を重ね、現場を磨く。順番を間違えなければ、評判は必ず後からついてきます。

    11. 参考資料・出典

    1. 総務省『令和5年度 通信利用動向調査』
    2. Google『Google マップのコンテンツに関するポリシー』
    3. 消費者庁『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』(ステマ規制/景品表示法、2023年10月施行)
    4. 総務省『プロバイダ責任制限法 発信者情報開示の手引き』
    5. 厚生労働省『介護サービス情報公表制度』

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    本記事の内容は、本稿執筆時点(2026年5月)のGoogleポリシー・関係法令・公開情報および編集部取材に基づきます。削除依頼・発信者情報開示請求・訴訟等の判断にあたっては、最新のポリシー本文を確認のうえ、弁護士・社労士等の専門家にご相談ください。